21 4月 2020

歯科専門クリニック見学(Auskultation)。

桜が咲き始めました。


コロナ禍で内容が大きく変わった最後のコース。
コースの前半は専門クリニック見学(Auskultation)でした。

3日かけて6つの専門歯科を見学。とても興味深かったので、自分への覚書として軽く感想を書いとこうと思います。


以下、歯科に興味がある方だけどうぞ↓↓


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専門クリニック見学といっても、そもそも専門って何?って感じですが、衛生士には特別な専門職の資格(免許)はないけれど、歯科医師には9つの専門分野があり、その分野でÖvertandläkare(専門歯科医)になることができます。

その各分野の専門歯科医と、その分野を特に得意としてる?衛生士や歯科助士が働いています。(衛生士にも専門を認定させようという動きがあるそうです。)

専門の種類は、Bettfysiologi(顎咬合?)、 Endodonti (歯根管?)、 Käkkirurgi (口腔外科)、Odontologisk radiologi(レントゲン)、 Oral protetik (補綴、インプラントとか) 、Ortodonti (矯正)、 Parodontologi (歯周病)、 Pedodonti (小児歯科)。

※日本語適当でごめんなさい

そして9つ目として、Orofacial medicinという全身疾患の患者を専門にみる分野が最近できたそうです。もともと、Sjukhustandvårdって言われてたとこ。

その中で、私たちが見学した専門クリニックは、6つ(Orofacial medicin、Käkkirurgi、Ortodonti、Pedodonti、Parodontologi、Oral protetik)。

と言っても、コロナ禍で患者のキャンセルが多く、なかなか見学できる患者がいなかったり、感染防止のために超音波スケーラーが使えない等々だったので、いろんな制限はありました。

最初の見学先はOrofacial medicin (病院に併設されている歯科)と、口腔外科。


口腔癌や、癌の治療などで免疫が下がっており、口腔内からの感染病を防ぐ必要がある患者さんや、臓器移植を待っている患者さんなどが来院。ここはコロナへのリスクグループの患者ばかりなので、ほぼキャンセル!

ここでは、口腔疾患だけじゃなくて全身疾患の病名や、副作用、治療法などいろんな知識が必要になるなと思いました。Palliativ治療の患者さんも治療するそうで、なかなかタフな感じ。

一方、口腔外科では親知らずの抜歯手術を見学しましたが、えーーーなんなに歯茎をグリグリして剥がすの?!って失神しそうになりました笑 あれを無痛にする麻酔ってすごいね。


2日目の見学先は、ortodonti (矯正歯科)と pedodonti(小児歯科)。



矯正歯科では衛生士は働いておらず、矯正アシスタントという肩書きをもった歯科助士さんと矯正専門歯科医について見学しました。矯正アシスタントっていう専門があるなんて知らなかった!

矯正については、コースでちょろっとやったぐらいなので全く知識がなく、すごい細かい作業にびっくりしたし、歯ってあんなに移動するんですね。矯正前、矯正後の写真を見せてもらいましたが、矯正の技術ってすごいわ!私もやりたい笑

小児歯科は、発達障害の子や重い疾患がある18歳以下の患者を受け入れています。衛生士さんの小児がん治療中の子の、オーラル・チェックしか見学できなかったので少し残念でした。自閉症や知的障害のある子に対して、どういった治療方針をとっているのか、実際に見てみたかったです。

一方、小児歯科専門歯科医の治療を見学させてもらいましたが、子どもの扱いがうまいなと思いました。緩急のバランスがすごいというか。あれって研究したり、トレーニングしたりして上達することはできるけど、天性の性格もあるんじゃないかな。
日本にいた時に、半年だけ小学校の特別支援学級のアシスタントをしましたが、その担任の先生を思い出しました。素敵な先生だったな。


そして3日目は、衛生士の花形といってもいいParodonti (歯周病)と protetik(補綴) 。

まず何が良かったかって、待合室や治療室から湖が見えること!笑

Vättern湖ですよ。



私もこんな自分の城(ユニット)がほしい。。。

歯周病専門クリニックには、一般歯科(Folkやプライベート)から難しい歯周病ケースの患者さんや、インプラント希望の患者が送られてきます。

ここでは全スタッフが共通の治療方針をとっていてとても勉強になりました。

大体の流れはこんな感じ↓


  1. 検診&レントゲン
  2. 衛生士による患者教育(1時間)
  3. プラーク・コントロール(目標はPlack Index10-15%)
  4. 治療開始
  5. 治療結果のコントロール (8mm以上のポケットは5-6mm、6mm以下のポケットは4-5mmが目標)
  6. 治療評価 →次の治療方針。


専門クリニック来院初日は、専門医による検診。ここで歯周病の原因、現状、患者の情報などをくまなくチェックし、必要ならばレントゲン専門に送りレントゲンを撮ってもらいます。

そして来院2回目からは衛生士が担当。ここで行われるのは歯石除去といった治療ではなく、インフォメーション・インストラクションといった、歯周病についての患者教育、患者自身へのオーラル・ケア力向上です。歯周病はなぜ発生するのか、喫煙や遺伝といった主な原因、病気の進行をストップさせるためのオーラルケアの重要性などを、教材やレントゲン写真、染色などを利用して、1時間みっちりお話しします。そこで軽く歯石除去もしたりしますが、メインはあくまで「患者教育」

そして3回目に、munhygienkontroll、口腔衛生のチェックです。前回の来院から患者のプラーク・コントロールがどれだけ良くなったかを確認。Plack Index10-15%の達成を目指します。そしてそれを達成してようやく本格的な治療に進みます。

実際の治療は、なるべく1ヶ月以内に。

そして全ての治療が終わったら、その1ヶ月後にVävnadskontroll。歯茎や歯周ポケットがどれだけ改善したかをチェック。同時に患者のオーラル・ケアが持続されているかもチェックします。必要に応じて、再教育。

そしてその3〜6ヶ月後に、Utvärdering。治療全体の評価を行います。
ここでの評価をもとに、次の計画を歯科医師と立てます。手術が必要なのか、もう少し衛生士の治療を進めるのか…

、、、、みたいな流れで、一定した治療方針がとられていてとても勉強になりました。

この方針は一般歯科でも取り入れられるよね。

いくら歯周病患者の歯石除去治療をしても、患者本人のやる気と自覚がないと治療は成功しません。歯周病は進んでいくだけ。だから最初の意識付けがとっても大事。

衛生士さんが患者さんに言っていた「自宅での歯の手入れは薬物治療と一緒で、毎日摂取(ケア)しないと効果がない」って、本当にその通り。

歯周病専門クリニックは、一般歯科から送られてくる患者なので、もし患者自身がやる気を見せなくて、オーラル環境がまったく改善されなかったら、「もうここでは治療できませーん」って一般歯科に送り返すことができるから、その点で一般歯科とはちょっと違うかな。

また、インプラント希望患者も、まずは歯周病を改善させてから手術です。待ち時間も含めたら、かなり時間はかかるけど、ちゃんと口腔環境をととのえてからインプラントしないと、資源と資金の無駄になるだけだからね。

という感じで、とても興味深い見学でした。

早く働きたい!!!!!(今はそう言えるw)






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