13 9月 2020

クリニックは個室がいいのか、オープンなユニットがいいのか。

仕事を始めてまだ3ヶ月も経ってないのに驚きです。気持ち的に半年ぐらいは経ってる気分。

それだけ毎日が濃いです。

まだ新米だけど、もう普通の衛生士業務に当たってます。まったくの1人で!!

もちろん、重度歯周病の患者さんや、障害のある方といった対応が難しい患者さんは先輩衛生士に任されてるけど、3歳から87歳(!)までの方の健診、麻酔も使う歯周病治療、予防処置、、、普通にやってます。

いいのか、これで?

最初の方は、健康な患者さんの健診をひたすらやってたけど、今は普通に新規の患者さんや歯周病や虫歯のリスク度が高い患者さんの定期検診の予約もバンバン入れられています。

他のスタッフさんはいつも「何か困ったらいつでも聞いてね!診断が不安だったらいつでも聞いてね!なんでも質問して!」って言ってくれるから、ぶっちゃけ「これは虫歯ですか?」っていうレベルの質問さえも普通に質問してます。

レントゲン読むのも、目で見るのも超難しい。。。(大学時代、虫歯治療はどうせ歯科医師の業務範囲だし。と若干軽くみていた部分があるけれど、衛生士も診断できるんだからもっとちゃんと勉強しておけばよかった涙)


でも、これって私から質問しないと、誰かが私の健診内容や治療結果を逐一チェックしてくれるわけじゃないから、もし私が何かを見逃してたり、歯石が全く取れてなくても、誰も気づかない…そう考えたら怖くない?

ここだけの話だけど、とある患者さんで健診時には治療が必要な虫歯はないって診断したけど、歯石がたくさん付いてたので別の日に再来院してもらいました。歯石取り中に、「あれ?なんかここ柔らかい?」と明らかに歯石ではない感触の箇所があって、改めてレントゲンを見ると大きな二次カリエス(詰め物の下にできる虫歯)が!

今レントゲン見るとはっきりと虫歯だとわかるのに、なぜ健診時の自分、こんな大きな虫歯を見逃した?!と、恐ろしくなりました。今回はラッキーだったけど、こういう見落としがあっても気づかない場合もあるじゃない?!

2週間に1回ぐらい、先輩衛生士のhandledning(指導時間)とクリニック院長歯科医とのHandledning時間はあるけど、その時間は処方箋の書き方を教えてもらったり、保険の診断基準についてアドバイスを求めたり、と事務処理的な指導がメイン。技術的指導って全然ありません。

あ、でも麻酔の時は同席してもらったかな。

そうそう麻酔の時!勤務先で初めて麻酔が必要な患者さんの予約が入った時も、誰も何も言ってくれないから、私から院長にお願いして(先輩衛生士は夏休みで不在だった)、「今日、初めて麻酔(しかも伝達麻酔っていって超難しいし今でも自信ない)打たなきゃいけなくて、ちょっと一緒に見てくれませんか」ってお願いしたからね。

これ、私から言わなかったら、誰も気にかけてくれたり、手取り足取り教えてくれないし。

この日以来は、(こんな感じかしら?)っと心の中では思いながら、患者さんには「はい、鼻でゆっくり呼吸して、落ち着いてねぇ。すぐよ〜」なんてベテランぶりながら、ぶすぶす射してるけど、これでいいのか?効いてるようだからいいのかな?

「習うより慣れろ!」って、この環境のためにあるような言葉だわ。

実習の時も思ったけど、良い意味でも悪い意味でもゆるいわ。

日本って、どういうシチュエーションでも、失敗しないように最善の準備をして、準備に準備を重ねて本番に挑むけど、スウェだと、準備し過ぎても本番に何起こるかわかんないじゃん?臨機応変にやっていこう?失敗したら失敗から学べばいいじゃない?みたいなスタンスじゃないですか?

日本でやった教育実習は、たった1時間の授業をするために、授業計画を書いて、指導教諭の先生に何度も見てもらって、修正して、満を持して授業一コマ!!!って、そんな実習だったけど。

まぁ教育実習と医療系実習を比べるのはおかしいけど、スウェでの歯科クリニックでの実習は、治療計画なんて一度も書かなかったし、「じゃぁ、そろそろやってみる〜?」っていう言葉は実習2日目だったからね。


そういった環境もあり、私は新人だけれども、学んできたことを生かせるように、毎回一生懸命に「ちゃんと」診察して、診断して、治療していると今のところは自負しているけど、でもやっぱり「これでいいのか〜?」って不安になることもしばしば。

特に歯肉下の歯石取りなんて、目で見えないし、感覚でとってるけど、これでいいのかー?(毎回、歯石取り残しチェックのためにレントゲンなんて取れないしね)

まぁ、もう少しこの気持ちが強くなったら、そういった面も院長さんに相談してみたいと思います。


といった感じの、スウェーデンの新人衛生士の職場環境なんですが、新人目線でみたら、今のクリニックでよかったなと思う点があります。

それはクリニックの規模!

計6つのユニットの、すごく小規模なクリニックです。


器材や器具が収納されている中央の棚台を挟んで、左に2部屋、右に3部屋の治療ユニットがあります。部屋は固定ではなく、週ごとに入れ替わります。(なぜかはわからない)

そう、前も書いたけど、スウェーデンの歯科医院はほぼ100%の割合で個室です。

今はすっかり慣れたけど、スウェーデンで初めて歯医者に行った時は個室で感動した記憶があります。


しかし、個室にも良い点と悪い点があって、悪い点でいうと、特に衛生士は1人で働くので、ユニット内で孤立しがち。私はなるべくドアをあけて、なにか質問があったら隣の歯科医や廊下を通り過ぎる歯科医に声をかけて、「ちょっと確認してー!」ってお願いをしたり、カメラで写真を撮るときは、歯科助手さんに「ちょっと手を貸して」と助けを求めたり。

他の歯科医師や衛生士も、基本的にドアをオープンにして健診や治療をしています。逆にドアが閉まっている時は、泣き叫ぶ子どもの治療中か、笑気ガス下での治療中か、「特別な」患者さんか?

でも、このオープン?な雰囲気もこの規模のクリニックだからこそできると思います。

プラクティークに行ってたクリニックは、ながーーーーい廊下に個室が20も並んでいて、治療中のユニットのドアは完全に閉められていました。指導衛生士さんも、診断中に歯科医師の意見が必要になっても、時間があいている歯科医師を探すのに一苦労。それに雰囲気的に、治療中は邪魔しちゃいけない雰囲気だったような?

うまく言語化できないけれど、クリニックによって、(外科的処置とか、よほど複雑な治療中でなければ)、治療中でもがんがん声をかけていいっていうの今のクリニックの雰囲気かな。

一度、私も歯石取り中に受付の歯科助手のおばちゃんに声をかけられて、何事かと思ったら「ランチにみんなでピザを注文するけど、夏美もいる?」っていう話だったっていう笑

最初は、え?!なにこのゆるさ?!って思ったけど、こんぐらいゆるくてもいいか〜こういう雰囲気の方が私もいろいろ聞きやすいし。って思えるようになりました。

でも未だに治療中の歯科医師さんに声をかけるのはちょっと憚られるなぁ。

また、日本の歯科医院のように、個室ではなくてオープンなユニットだと、先輩から直接フィードバックをもらえやすいと思います。

この前、日本の歯科医師の先生をお話をする機会があった時に、「チェアがずらっと並んでいるような環境だと、隣のチェアで治療している後輩の姿勢とか、患者への説明方法とか態度とかが目につきやすいから、後輩指導がしやすい」っておっしゃってました。

「後輩指導」!!!

これこそ日本の良き文化。先輩・後輩感覚が皆無なスウェ。先輩が後輩に指導する文化ってなかなか無いよねぇ、と思いました。私から頼んで「ちょっとここ見といてくれない?よかったらフィードバックちょうだい?」っていったら、指導してくれると思うけど、「私から」なにも頼まなかったら、誰も私の健診や治療を観察して、「もっとこうしたほうがいいよ!この言い方は無いでしょ」とか、ぜっっっっっったい誰も言ってくれない(・∀・)Folkだからか?

プライベート医院なら、院長の治療色に染まれるようにもっと指導があるのかな?

だからこそ、スウェーデンの歯科医院は歯科医師や衛生士も、技術力にけっこうな個人差があるような気がします。。。誰も指摘し合いっこしないから、本人の向上意力がないと成長しない、というか。いや、どうなんだろ。

でも個室ユニットにもメリットは充分あって、個室の方が患者のプライバシーは守られます。各患者のジャーナルには、処方薬や既往歴などがのってるし、そういった質問も健診時にはするので。

それに患者目線から見ても、衛生士目線から見ても、例えばブラッシング指導などは個室の方が断然やりやすいと思います。

思い返せば、小学校中〜高学年頃に、虫歯がありまくりだった私は、通っていた歯科医院でブラッシング指導を受けた記憶があります。歯を赤色に染色して、磨けている部分と磨けていない部分をみるやつね。あれで今でも覚えているのは、ものすごく恥ずかしかったってこと。微妙なお年頃だったっていうのもあるけど、両隣に他の患者さんがいるのに、歯ブラシの磨き方を教えられるのがものすごく恥ずかしかったです。「子どもじゃないし!」って聞く耳持たずだったような。。。(反省)

これって私だけじゃなくて、けっこう普遍的な感情じゃないかな?

衛生士は、患者の歯の衛生指導も大事な業務だから、磨き残しがある患者さんや、全然上手に磨けていない患者さんには、毎回使い捨ての歯ブラシを使ってブラッシング指導をします。

もちろんいくら個室でも、聞いているのか聞いていないのかわかんないようなティーンエイジャーや中年の人はいるけど、それでも患者目線だと、個室の方が恥じらいなく指導を受けやすいと思いませんか?

こう感じるのは私だけ?


ただでさえ人口密度の高い日本だと、物理的にも全個室の医院は難しいと思うけど、歯科医院一つとっても、個室なのかオープンなのかって、見えない文化の違いが影響しているようで面白い。

皆さんは、どっちがいいですか?私が患者なら断然個室がいいなぁ。




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