まだ日本で働いていた頃、勝間和代さんをはじめとする、その他数名経営者陣の座談会に行ったことがありました。その時、「一番の節約は健康でいること」と話されていたことをよく思い出します。
精神病やガン、原因不明の難病にかかるのは仕方がないことだけど、予防できる病気、例えば生活習慣病などはできるだけ予防すべきです。医療費って、家計だけじゃなく社会にも大きなインパクトを与える出費。社会の持続可能性を維持するためにも、個々人の予防への意識はとても大切なことだと、大学でもかなり言われます。
そして何よりも予防できる生活習慣病は、歯周病!!!!歯周病って名前は耳にするけれど、意外とそれが何なのかわからなかったりしません?
この前友達に、「虫歯と歯周病って何が違うの?」って聞かれて驚きました。 そうか、そうだよね、私だって大学を始める前は、歯周病の事はあんまり知らなかったもんね。
超簡単に言ったら、虫歯は、バクテリアが砂糖などの餌をもとに酸を作り出し、その酸によって、歯のカルシウムとかリンといった成分が溶け出して歯に穴があいた状態。(参考)
予防歯科先進国と言われるスウェーデンで、予防歯科のプロである歯科衛生士になろうとしている私、実はあまりよろしい歯の状態ではありませんでした。
私は小さい頃から歯医者さんの常連で、今では治療済みの歯がめっちゃあります。何気に銀歯もあります。 高校〜大学生ぐらいからは歯医者に通わなくなったし、つい近年までは歯磨きも上手にできていなかったのもあって、スウェーデンでも2本治療しました。
スウェーデンで生まれ育ったクラスメートたちは、ほぼ全員が虫歯ゼロで治療経験ゼロ。2、3本の治療済みの歯があるのは数名。 これがスウェーデンのスタンダード?!
想像してみてください。そんな歯の状態のクラスメイトに混じって実習する私の立場を。。。マジ恥ずかしい。。。
でもこの恥ずかしい気持ちを先生に少し相談したら、「恥ずかしがる必要はないし、その経験はより患者さんに寄り添えるわ!」って励まされました。
それにパトには「虫歯が多かったは親の責任だよ」とも言われました。あはは。
治療済みの歯は新品には戻らないので、すでにできている小さな虫歯がこれ以上進行しないように気をつけています。 でも歯の病気で気をつけないといけないのは虫歯だけじゃありません。歯周病も、十分に予防できる病気です。
虫歯が、歯自身に発症する病気に対して、歯周病は、歯の周りを支えている歯茎やその下にある骨(歯槽骨)が影響を受ける病気。
口腔内には何種類もの常在菌が存在するわけだけど、歯周病に関連する菌が、歯と歯茎の境目にたまって白い塊のプラークができます。 プラークは柔らかいので、歯磨きや歯間ブラシなどを使って自分で取り除くことができます。
そのプラークが、唾液の働きによってミネラル化し、硬くなって歯にくっついているのが歯石(tandsten)です。硬くなってしまった歯石は、歯磨きではとれないので、歯科医に通い、歯医者又は衛生士によって特別な器具を使って取り除く必要があります。よく歯石取りにいく〜って聞きますよね。
この菌の塊であるプラークや歯石に体内の免疫機能が反応して、歯茎に炎症を起こします。他の体の部位で起こる炎症反応と同じように、歯茎も赤く腫れて、出血しやすくなります。 歯磨きや糸ようじの使用だけで出血するようなら、歯茎が炎症している証拠。
炎症している状態は、歯肉炎(tandköttsinflammation/gingivit)と言います。
この状態なら、炎症の原因になっているプラークや歯石を取り除けば、数週間で炎症は収まり、出血もしなくなります。
私も2年ほど前までは、糸ようじを使えばいろんな箇所から出血するぐらいの歯肉炎でしたが、今はまったく出血しません。
歯肉炎を改善させず、そのまま放置していたら、ながーーーーーい時間をかけて、次第に歯茎の炎症が歯を支えている周囲の組織や骨まで広がり、骨が溶かされ、歯がグラつくようになります。その過程で、歯周ポケットもかなり深くなります。(スウェーデンでは4mm以上深かったら記録します。健康な状態なら1-2mm程度)。歯周ポケットが深くなると、自分でのケアも難しくなり、余計プラークや歯石がたまり、病状は悪化するばかり。(=定期的に歯科医へ通う必要ができて、コストもかかる)
この状態になると歯周病(tandlossning/parodontit)となり、最悪、歯が抜け落ちます。 根気強い治療で、歯肉の腫れを改善させて、進行をとまらすことはできるけど、一度なくなってしまった骨は簡単に元には戻りません。近年は、歯槽骨再生技術の研究が盛んで、将来は歯周病も治せる病気になるかもしれないけれど、できるなら今から予防しておくのがベスト。
歯周病で怖いのは、歯がぐらつくほどまで進行していても、痛みといったわかりやすい症状がでないこと。歯がぐらつくようになってようやく歯科医にいっても、もう病気の進行をストップさせるぐらいしかできないし、ぐらついている歯を抜くしか道が残ってなかったり。
歯肉炎や歯周病の予防は、とにかくプラークを綺麗に取り除くこと。適切な自分でのケア。
もちろん、免疫機能に影響をあたえる、ストレスや喫煙、糖尿病等の疾病や、ホルモンバランスが崩れる妊娠が歯周病にかかりやすくなる要因になりえるけれど、
日々のデンタルケアが一番大事!
プラークが硬い歯石になって歯科医通いする前に、毎日自分で柔らかいプラークを掃除してあげること!
私も最近ようやくデンタルケアの習慣が身につきました。(衛生士になる以上、自分でケアぐらいはしないとね)おかげさまで、歯茎の状態はかなり良好です。
今日は私がスウェーデンでどんな風にケアをしているかちょっとだけご紹介します。
スウェーデン予防歯科界隈で奨励されているのは、1日2回、2分間、2cmのフッ素入り歯磨き粉でブラッシングすること。
私の場合は、
- 朝: 1回歯ブラシで歯磨き。特に歯と歯茎の境目を意識する。
- 夜: 糸ようじで歯間掃除をした後、電動歯ブラシで2分間ブラッシング(歯磨き粉なしで)、その後、普通の歯ブラシで歯磨き粉を歯に塗りつけるような感じで仕上げ。
夜の二度手間ブラッシング方法は、歯医者さんに教えてもらいました。電動歯ブラシで歯磨き粉をつけて磨くと、泡立ちがよくてちゃんと磨けてるかわかりにくくなるので。
そして虫歯予防に大切なのは、フッ素配合の歯磨き粉で、通称お口クチュクチュメソッドを使うこと。スウェーデン語で「sila skum metoden」と言われる方法ですが、フッ素配合の歯磨き粉で歯を磨いた後、泡を歯全体にいき渡せるようにクチュククチュ。
そしてその後はなるべく水でゆすがず、フッ素を口内に残すこと。
スウェーデンで売ってる歯磨き粉のほとんどはフッ素配合なので、どれでもいいと思うけど、私は知覚過敏気味なのでsensodyne。
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Sensodyneって日本のシュミテクトと同じ商品って知ってました?私は知りませんでしたよ?!!!?!
(https://www.hagashimiru.jp/)←HPアドレスが面白すぎる笑 これ公式よね?
よく口内炎ができるちょっと繊細な(笑)パトは、界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム(Sodium lauryl sulfate、SLS)無配合のzendium使ってます。
歯ブラシは、Made in SwedenのTePe!ブラシの質が大好き! |
時々、Flux(フッ素入りの口内洗浄水)で口をゆすいだり。↓これ、パッションフルーツ味で美味しいよ〜
手遅れになる前に、なるべく自分でケアして、健康な口腔状態を保ちたいものです…
私は毎晩糸ようじで歯間掃除もして、普通の歯磨きだけしてるパトより倍の時間をかけてデンタルケアしているけど、彼は虫歯はできない。歯科矯正済みともあって羨ましいほどの整った歯並びや、元々虫歯ができにくい体質(唾液の質?)も関係しているかな。
でも、所謂「大人の病気」である歯周病はアラサーのこれからが勝負だからね!
1177に歯間ブラシや糸ようじ、適切なブラッシング法などが動画で紹介されてます。スウェ語勉強ついでにどうぞ!(https://www.1177.se/Kronoberg/Tema/Tander/Skotsel/Rena-tander/)
いつも楽しみに読んでいます!とても大事な情報ありがとう!改めてまたデンタルケアを頑張らなきゃと思いました。健康も歯も日々の積み重ねだよね。実習も始まってドキドキだよね。普段ではなかなか見れない&聞けない歯科衛生士さんの学生事情もとても興味深く読ませてもらっています^^少しずつ春になってきて嬉しいね~
返信削除わー、読んでいただいてありがとうございます!フロスを使ったデンタルケアが習慣化するまで、私もだいぶ時間がかかりました。実習が始まってドキドキですよ!もっと喋らなくて良い職かと思ってたのに笑、意外と患者さんとのコミュニケーションが求められて四苦八苦です。
削除暖かくなったり寒くなったり、季節の変わり目ですね。でも日がだいぶ長くなりました。本当の春まであと少しですね。