08 12月 2016

ウナギってレッドリストじゃなかったの?

クリスマスのこの時期になると、マーケットやお店でよくみかける「rökt ål」こと燻製ウナギ。無知な私は、「ウナギ」は日本をはじめアジア圏特有の食文化、なんて勝手に思っていましたが、欧州でもウナギは昔からよく食べられていたようです。日本でよく食べられているのはニホンウナギで、こちらではヨーロッパウナギがメインだそうです。違いはなに?

あれ、でもニホンウナギにしろ、ヨーロッパウナギにしろ、絶滅の危機に瀕しているんじゃなかったっけ、とクリスマスマーケットに並んだ燻製ウナギを見ながら思いました。

そしたら、昨日の地方ニュースで、「国全体で約90%のレストランは、クリスマスディナーでウナギは取り扱っていないが、約90%の店舗では未だに絶滅の危機に瀕しているウナギの販売を行っている」というものでした。(参考

南スウェーデンに位置するブレーキンゲ、スコーネのバルト海沿岸地方では、クリスマスディナーの一つとして、長年この燻製ウナギを食す文化がある(あった)そうです。私がみたニュースでインタビューを受けていた、ウナギを購入していた女性は、「私はウナギとともに育ったスコーネ人だし、今回は、何年もウナギを食べていない高齢の母へのサプライズとしてウナギを購入した」って話していました。同じニュースでインタビューを受けていた、店舗側のおじさんは、「ウナギを売ることは私の権利だし、お客さんもそれを求めている」と。(参考) ふむふむ、ウナギに対する危機意識は高まっていても、この時期に食文化としてウナギを求める人は、環境意識が高いスウェーデンでもまだいるんですね。

スウェーデンでウナギ漁は原則禁止されていますが、許可をうけた漁業関係者なら漁獲してもよいそうです。だから、いまだに店頭でも見かけるのでしょう。

日本でもだいぶ「ウナギの絶滅危機」問題はメジャーになってきたと思いたいですが、ちょうど最近、クローズアップ現代でウナギについて特集されていたようです。

「白いダイヤ、ウナギ密輸ルートを追え!」

とても興味深い内容でした。日本近海でウナギの稚魚が穫れなくなると、ヨーロッパから稚魚を輸入し、その度が過ぎてヨーロッパからの稚魚の輸出が規制され、今は台湾から香港経由で密輸されている、、、しかも、わざわざ台湾から仕入れる理由が、土用の丑の日に間に合うように養殖するために、はやめの時期に漁獲できる台湾から密輸する必要がある、と。誰がそこまでして土用の丑の日にウナギを食べたいんでしょう。

環境意識が高いスウェーデンでも、未だにウナギが漁獲され、販売、食されているぐらいなので、日本でウナギ漁業、取引、販売が完全に規制される日はくるのでしょうか。ウナギだけじゃなく、多くの魚が乱獲され、絶滅の危機に瀕していることをどれだけの人が意識しているんでしょう。

私は高知で暮らしていた時に、カツオといったら日本一!の某水産会社に出向き、恐れ多くもそこの会長さんにインタビューをさせてもらったことがあるんですが、会長さんいわく、カツオも乱獲によって穫れなくなってきて、それをまかなうために、船に最新設備を投資し、外国人研修生に頼り、南下し続けなければならない、と。え、それは「しょうがない」ですます問題なのか?と自問自答しましたが、ここで問題になるのは「コモンズの悲劇」。海産物は回遊する資源なので、一つの国で規制を敷いても、他の国が乱獲すれば意味がありません。規制するにしても、漁業関係者内との兼ね合いもあるんでしょう。

だからこそ、世界規模で指針を示す必要がある問題だと思うんですが。

会長さんの「土佐湾は昔はもっと藍色だった」という言葉が、すごく印象的だったのを覚えています。

でも、日本でカツオ食べたいな。

クリスマスマーケットでたくさん見かけた、ållotteri(ウナギ・ロト)。1口5krのクジをひき、あたったらウナギの燻製がもらえますっていう賭けゲーム。他の街でもあるのかな。




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