出産からそろそろ2ヶ月が経とうとしています。人間はよくできているもんで、あれだけ痛くて辛かった記憶も、今ではけっこう曖昧で忘れつつある…かな。いや、でもまだ辛かった記憶が残ってる!笑
今回、日本でいうと「高齢出産」となる年齢で、スウェーデン地方都市・ベクショーの中央病院で第一子を出産しました。医療スタッフも設備もしっかりしていて、妊婦健診から出産、入院生活と、かなり満足する体験でした。
備忘録がてら、つらつら体験記を書いてみたいと思います。
ちなみに私は事前の妊婦健診で、助産師さんに「痛みが何より嫌いなので、使える鎮痛方法は全部使いたい」とお願いしていたので、所謂「無痛分娩」です。
(えぇ、当初は日本語でいう無痛分娩は、まったく痛みがないもの、と思っていたんですよ。そもそも無痛分娩っていう日本語間違ってない?普通に超超痛かったけど。せめて和痛、と名前を改めたほうが良いと思う。)
私の出産は、予定日から6日目、破水から始まりました。6日目の早朝に、ちょろっと冷たいものがもれたのを感じて目が覚め、時期的に破水だと思ったけど、予想より水量が少ない!もっとビチャーーーーーって出るもんじゃないの?!本当、ちょろっ!て言うぐらい少量でした。
病院に電話すると、2時間ナプキンをあてて様子をみてからまた連絡して、と言われる。
2時間後、ナプキンが薄いピンク色で濡れている旨を報告し、病院へコントロールへ向かう。
そこで、助産師さんが破水を確認。赤ちゃんの心拍、血圧、私の体温を測り、すべて異常なし。と言うことで、一旦帰宅し、陣痛が来るのを待つことに。
その日はそわそわしながら、1日ゆっくり過ごしました。うーん、今思えばここでもっと寝ておけばよかった。
そして、その日の夜から明らかにお腹がいたくなる。あぁ、この痛みが陣痛か!と感じたけど、今振り返ればどんな種類の痛みだったっけ?(忘れたw)とにかく痛かった。←ボキャ貧にも程がある。
日付が過ぎた頃には、陣痛の間隔は不規則ながらも10分以下になってきて、1時ぐらいに病院に電話。
「病室は今の所空いているから、今すぐ来てもいいし、定期的な5分間隔になるまで家で待機してもいいし」と言われました。すでに超痛かったけど、まだ気持ち的には余裕があったので、入院バッグの最終チェックをしたり、おにぎりを作ったり、ラズベリーリーフティーを飲んだりして、自宅待機。(家から病院まで5〜10分で着くので、自宅待機を選びました)
しかしいよいよ痛くなってきて、陣痛間隔は定期的に3分ぐらいになり、4時ごろに再度電話し、病院に向かいました。
このまま入院する気満々で、荷物も持っていきました。 |
病院に着いたら、まず助産師さんにいろんなチェックをされました。母体も胎児も問題なし。点滴や注射用に、左手の甲にラインをとられる(これも痛かった)。確か抗生物質も注射されたような…(少量ながらも破水始まりだったので、入院中に感染防止で頻繁に抗生物質を射たれた記憶があります)
子宮口はこの時点で、1.5cm。痛み的にもう8cmぐらいだろう!と思ってた私は、「まだ10分の1?!これが10倍の痛さになるのか?!」とビビる。
1.5cmだったらおそらく一旦家に帰されるだろうけど、この日(予定日から7日目)の午前中に、もともと産科医の検診の予約があったので、一回帰ってまた来るのも、、、ってことでこのまま入院させてもらえました。ラッキー。
そこで痛み止めにモルヒネ注射をうってもらい、朝5時にBBと呼ばれる入院部屋に入室。モルヒネのおかげで痛みが和らぎ、3時間ぐらい寝られたかな。
8時半に朝ご飯。まだモルヒネがきいていて、朝ご飯はしっかり食べられました。
ザ・スウェーデンの朝食!っていうメニュー。 入院中の朝ご飯は毎日このメニューだった。 |
そしたらいきなり気持ち悪くなって、嘔吐。マーライオン並みの嘔吐。そう、私の分娩は嘔吐との戦いでもありました。産むまでにトータルで4、5回ぐらい吐いた。しかも盛大に。
一気に気持ち悪くなって、吐くと一気に楽になる、の繰り返しだったので、あれはいったい何だったんだろう。悪阻?薬の副作用?まさか陣痛中にこんなに吐くとは思っていませんでした。
その後、助産師さんと産科医さんによる超音波での検診。羊水がしっかり残ってたので、「本当に破水した?」と疑惑の目で散々質問されるも、破水したって判断したのは今朝診察した助産師さんよー!
でもこの日ですでに予定日から7日経っていたのもあり、破水していようがしていまいが、結局は促進剤を使うタイミングだったようで、促進剤を処方されました。これがショットみたいな液体促進剤。
促進剤をグビっと飲んだその40分後ぐらいに、また気持ち悪くなって盛大に嘔吐。助産師さんたちも、「え、促進剤も吐いちゃったかな…」と困り気味。スミマセン。
ランチは食べる気にもならず、持参したおにぎりをパクり。(本当おにぎり持って行ってよかった。結局この日はランチもディナーも病院飯を食べる余裕がなく、おにぎりしか食べれませんでした)
その後、モルヒネの効果がなくなったからなのか、それとも促進剤のせいか、痛みがどんどん増してくる。ここで、TENSという、腰に貼ったパットから電気がビリビリ流れる和痛方法を薦められる。よく整骨院で腰とか肩とかに当てられるやつ。このTENS、痛みを和らげる、というか痛みの気をそらす程度。でも私にはあっていて、ずっと使ってました。しかし痛いもんは痛い。
そして2度目の促進剤。そしたらもう痛いのなんのって。TENSじゃもう無理!もうこれ子宮口全開っしょ(゚Д゚)!!!って思ったのに、まだ3、4cmぐらいしか開いておらず、心折れる…
でもあまりにも痛がっているのをみかねて、BBの部屋から分娩室へ移動しました。
私は全く食べれなかったその日夕ご飯。タイ風焼き飯。 もちろんパトのご飯もついてます。 |
17時に分娩室(Förlossningsrum)へ。BBの部屋と同じ階にあるので、休み休みで自分で歩いて移動しました。
分娩室に移動してすぐ。部屋は薄暗かったです。 |
分娩室に着いたら、さっそく笑気ガスを試しました。笑気ガスは勤務先の歯科医院でも使っていて、使用した患者さんは笑ったり、ほわほわしたり、、、とても気持ちよさそうで笑、今回使うのを楽しみにしていました。
でも最初は全然効かなくて、濃度を上げてもらったら、ふわふわ〜と感じるように。ほろ酔い気分というか? でも痛いよ???全然痛いですけど。
そこで、EDA(Epiduralbedövning)と呼ばれる硬膜外麻酔を入れてくれる麻酔科医を予約。まだタイミング的には早かったかもだけど、夜勤の麻酔科医は忙しいからなるべく早めに予約しおきましょう。って言われたのに、麻酔科医のフレドリック氏、すぐ到着!はや!
ちなみにこの麻酔科医フレドリック氏、入院中に唯一拝見した男性スタッフでした。彼以外、全員女性ばっかりでした。
EDA、背中に注射して管入れるなんて超痛そう、怖い…って思っていたけど、陣痛の痛みに比べたら、全然余裕でした、と言いたいところだけど、管入れられる前の局所麻酔はかなり痛かった。そしてEDAをつけたタイミングで、お世話になったTENSとはサヨナラ。この時点でまだ子宮口5cm…半分かいッ!
18時半ぐらいにEDAをセッティングしてもらって、その15分後には、
「全然痛くない(゚Д゚)」
19時には、管を引き連れて自分で歩いてトイレにも行けたし、パトと記念撮影をする余裕もあるぐらい。
そしてその間に、助産師見習いのハンナと一緒にいろんなポジションを試して、お産を進めます。
そしたら揺れに酔って吐いたよね。
お昼のおにぎりを最後に、ろくに食べてないのによくここまで吐けたな…まぁ水分はしっかり取ってたけど。
そして21時時点で子宮口4cm。
4cm?!5cmだったのに引っ込んだ?!!(゚Д゚)
と言うか、三交代制の労働環境だからか、この時点で、朝、昼、夜と3回ほど担当の助産師さんが変わっています。と言うことは、子宮口の開きも指で測るわけだから人によって誤差が。もちろんEDAの利用でお産が進まなくなって子宮口がまた縮んだ可能性もあるけど、5から4に下がったって言われて本当に悲しかったし、やる気がしぼんだ…
この3人目の助産師さんは他のお産も担当していて、いろんな部屋を行ったり来たり。基本的に助産師見習いのハンナが私たちの面倒をみてくれました。
子宮口が全然開かないので、日付を超えた頃に、ショットとは別の促進剤(オキシトシン?)を、手の甲から入れられる。
ここから悶絶する痛みに耐えることに…ここが一番辛い時間だった。
EDA入ってるし、麻酔も追加してもらったのに全然効かないんですけど?!!!
なぜ?????と、見習いハンナに問いただすも、「そういうものよ!」って。
でもこの促進剤のおかげで、一気に開き、午前2時で8cm、そして3時過ぎにようやく全開。
ハンナに呼ばれて戻ってきた助産師さんも、予想より早く進んでてびっくり。
促進剤の効果で、子宮口が一気に開いたので、この間の痛みが強かったそうです(本当かいな)
でも待ちに待った全開という単語を聞いて、やっと終わりが見えてきたと元気が湧きました。
この頃は、EDAがもう効かないから陣痛の波が来るたびに笑気ガスをスーハースーハー。
途中でくっらくらになりながらも、笑気ガスにめっちゃ助けられました。これがなかったら私痛みで失神してたかも。
そしたら胎児の心拍がなぜか上昇。長引くお産でストレスを感じていたようで、すでに見えていた赤子の頭から血液をとられ、場合によっては緊急帝王切開にもなりうるかも、と言われ本当にビビる。
でも数値は良好だったので一安心。そこからは一気に進んで、予定日から8日目の早朝に「にゅるんッ」と産まれました。
面白かったのが、出てくる前から「ふにゃぁ」と泣き声が聞こえたこと。あと、「真っ黒な髪の毛がふさふさの子よ〜」って助産師さんたちにずっと言われてたこと笑
産まれたらすぐにカンガルーケア。血液と羊水でベッタベタな産まれたての赤ちゃんを渡されて、せめてちょっと拭いてくれないかな?(´・ω・`)と思ったのが本音。
産まれた瞬間は、テレビドラマみたいにもっと感動するもんかと思ったけど、やりきった感と疲労感と高揚感と安心感で、いろんな感情が大渋滞でした。
元気に産まれて本当に良かった… ただそれだけ。
あ、ここまでずっとパトも一緒でした。スウェーデンは基本立ち会いなので、私の横で最初からずっとサポートしてくれていたパトも疲労困憊。でもとっても嬉しそうでした。
赤子を胸に抱きながら、パトが臍の緒を切ったり、胎盤の処理、傷の処置をしてもらっていると、ようやく産科医登場。どうやら出血がなかなか止まらないようで、急遽オペ室へ運ばれることに…
ここからの話はまた次回に。
分娩のまとめ
使った和痛方法(Smärtlindring)
- モルヒネ
- TENS
- 笑気ガス(Lustgas)
- 硬膜外麻酔(Epidural/EDA)
事前の妊婦健診で、入浴も勧められたし、実際入浴部屋を見かけたけど、いったい誰がどのタイミングで入浴できるんだろ…それどころじゃないって思っちゃった。
驚いたこと
- 三交代制なので、ものすごい数の助産師さん(Barnmorska)、看護師さん(sjuksköterska)、准看護師さん(undersköterska)、産科医(läkare)にお世話になる。でもさすがにスタッフ間でもホウレンソウはしっかりされているので、別に不便はなかったし、全員とっても親切で優しい人ばかりだった。
- パトと2人の時間がほとんど。助産師さんも、その助手さんの准看護師さんも、時々様子を見に来るだけ。私たちには、助産師見習いハンナ(看護師から助産師になるトレーニング中)の人がメインでついてくれたけど、ハンナも別の分娩室もいったりきたり。産科医なんてほぼ登場しない。
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